日本企業にとっての機会

本レポートは、先週発表した「India Outlook 2025」の続編であり、前回は主に製造業セクターに焦点を当てました。本稿では、サービス業セクターにおける日本企業向けのビジネス機会について取り上げます。

 

情報技術（IT）およびソフトウェアサービス

インドのIT・ソフトウェアサービス業は、デジタル変革、AI統合、グローバルなアウトソーシング需要の増加を背景に急成長を続けています。日本企業は、インドの豊富なIT人材を活用し、ソフトウェア開発、AIによる自動化、サイバーセキュリティソリューションの分野で成長の機会を見出せます。インドのIT企業との合弁事業、SaaSビジネスへの投資、ブロックチェーンやWeb3技術などの新興分野での協業が有望です。さらに、日本企業がインドにR&Dセンターを設立すれば、コスト効率の高い優秀なエンジニアリング人材を活用できます。

 

ヘルスケアおよびヘルステック

インドの医療業界は急速なデジタル化が進んでおり、遠隔医療、AI駆動の診断、個別化医療ソリューションが注目を集めています。日本企業は、医療機器、AIを活用した健康分析、ロボット支援手術の分野で、インドの病院やヘルステック・スタートアップとの提携機会を模索できます。また、日本の高齢者ケア技術をインドの都市部に導入することで、新たな市場開拓が可能です。製薬分野では、創薬やバイオテクノロジー研究の効率化に向けた協業の可能性も広がっています。

 

Eコマースおよびリテールテック

インドでは8億5000万人以上のインターネット利用者が存在し、Eコマース市場は大都市圏から地方都市（ティア2・ティア3市場）へと拡大しています。日本の消費財ブランド（電子機器、ファッション、食品、美容品など）は、Flipkart、Amazon India、MeeshoといったインドのEコマースプラットフォームを通じて、D2C（Direct-to-Consumer）戦略を展開できます。また、日本のリテール自動化技術、サプライチェーン管理、AIを活用した顧客インサイトのノウハウは、インドのリテールテック・スタートアップや物流企業にとって大きな価値を持ちます。持続可能な包装やスマートリテールソリューションにおける協業も有望な分野です。

 

EdTechおよびスキル開発サービス

インドのEdTech市場は、「Skill India」や「NEP 2020（新教育政策）」といった政府の施策を背景に、スキル開発や高等教育の需要増加により成長を続けています。日本企業は、インドのEdTechプラットフォームと提携し、専門的な職業訓練、AI駆動の言語学習、STEM教育プログラムを提供する機会を得られます。ゲーミフィケーションを活用した学習やVRを活用した教育技術への投資を通じて、日本の精密な学習メソッドをインド市場に展開できます。また、特に製造業、自動車産業、IT分野における企業向けスキル開発プログラムは、日本企業にとって大きな事業機会となります。

 

観光、ホスピタリティ、トラベルテック

インドの観光・ホスピタリティ業界はパンデミック後に回復傾向にあり、ラグジュアリー体験、エコツーリズム、文化交流への需要が高まっています。日本の旅行関連企業は、温泉、ウェルネスリトリート、旅館スタイルの宿泊施設など、プレミアムな日本体験を求めるインド市場をターゲットにできます。また、インドのトラベルテック企業との提携を通じて、日本への旅行促進を図ることも可能です。さらに、ブティックホテルや文化体験型の共同事業、高所得層のインド人旅行者向けの観光パッケージ開発にも大きな可能性があります。AI駆動の旅行パーソナライゼーションサービスやスマートホテルソリューションも有望なビジネス分野です。

 

tags: インド市場進出サポート, 海外展開, 海外展開, インド経済, 市場調査インド, 海外事業計画